Disney+の『キンドレッド』が気になっていました。
でも、奴隷制や人の尊厳を踏みにじる描写が苦手な私に、最後まで見られるだろうか。
20代の頃に「それでも夜は明ける」を見たときは、悪役の男を「頭おかしい、怖い」としか思えませんでした。
でも今なら、「なぜこの人は、ここまで人を所有物として扱えたんだろう」「そう考えるには時代背景に理由があるよなきっと。家系とか?」と、色々考えてしまいます。
そのときふと思いました。あれ、私、この10年あたりで何か共感性とか、視野が広がったとか、拡張機能追加された?笑
同じ作品を別の時期に見ると、また感じ方も違うし新しい発見があるよね。
育児中、「私、今日何したんだろう」と思っていた
子育てをしていた頃、私はよく思っていました。
「私、今日何したんだろう」
朝から子どものご飯を作って、着替えさせて、泣いたらあやして、危ないことをしないようにずっと見ている。一日中動いていたはずなのに、何かを成し遂げた感じがしない。
仕事なら、お給料が入ります。資格の勉強なら、試験に受かります。ゲームなら、経験値が入ってレベルが上がります。
でも、育児にはそれがありません。
ひたすら子供を見ているという実感だけは強くある笑
でも一日中赤ちゃんを見ていると、「観察力+1」「危険察知+2」なんて表示はされてないけど自分のレベルは上がってるんですよね実は。
子どもは昨日より少し歩けるようになったり、言葉を覚えたり、どんどん成長していく。その横で私は、自分のことを後回しにして、今日も世話をしている。
当時はどこかで、「子どもは成長しているけど、私は何も積み上がっていない」と思っていた気がします。
特に、収入がないことは結構気になっていました。自分で稼いだお金があれば、もっと自由に使えるのに。仕事をしている人は前に進んでいるのに、私はずっと同じ場所にいる。
そんな感覚がありました。もし今、同じ気持ちの人がいたら、ちょっとだけ読んでいってくださいね。
お金を稼げてないというコンプレックス、あったなあ泣
最近ふと気づいたこと
でも、子どもが少し大きくなった今、ふと思ったんです。
私、昔より人を見るのがうまくなってない?
映画を見ていても、昔なら「なんだこいつ。嫌な人だな」で終わっていた登場人物について、「なんでこんなことを言ったんだろう」「この人には何が見えているんだろう」と考えるようになりました。
先日も、友達からこんな話を聞きました。
友達「この前、初めての趣味の集まりに行ってきたんだけどさ」
私「うん」
友達「知らない人が15人くらいいて、ほぼ全員初対面だったの」
私「キツ」
友達「隣の人がずっと独り言を言ってて。優しい人かもって思って、勇気出して話しかけようとしたのね」
私「おお」
友達「そしたらその瞬間、帽子をガボッてかぶって」
私「え」
友達「話しかける雰囲気じゃなくなってさ」
私「いやタイミングよ」
友達「その後もずっとブツブツ言ってるから、もう話しかけられなくて」
私「ちょっとずっとブツブツは流石に怖いわ笑」
友達「しかも、ビンゴのイベントで私当たったんだけどさ、私の番のときだけ、拍手がなかったんだよね……」
私「なんでよ」
友達「私、何かしたのかな……ってしょんぼりして帰ってきた」
ここまでなら、昔の私は「何それ、感じ悪い!」で即判決でした。判決が早い。
でも、話には続きがありました。
友達「でもね、最近、その中の一人からSNSでやたらいいねが来るの」
私「え、なにそれ」
友達「対面ではあんなに冷たかったのに」
私はここで、あれ、と思いました。
話しかけた瞬間に帽子をかぶったのは、ただタイミングが悪かっただけかもしれない。拍手がなかったのは、みんな身内ネタに夢中だったのかもしれない。対面だと緊張して固まるけど、ネットだと全力、というタイプの人だっているし。
もちろん、本当に感じが悪かった可能性もあります。本当のところは、本人にしか分かりません。
でも、「あの人は冷たい人」で終わらせずに、「分からないから想像してみる」ことが、昔より自然にできるようになった。
対面だと固まるのにSNSでは全力、って人、ほんとにいるよね
もしかして、これ、育児でやってきたことじゃない?
赤ちゃんは説明してくれません。
「ギャーーー!」
私「お腹空いた?」
「ギャーーー!」
私「眠い?」
「ギャーーー!」
私「暑い? 抱っこ? え、どれ?」
「ギャーーー!」
(結局、眠かった)
こういうのを、何百回もやりました。
少し大きくなると、もっと複雑です。怒っているけれど、本当は悔しいのか、寂しいのか、うまく言葉にできないだけなのか。目に見える行動だけで判断せず、その奥にあるものを考える。私はそれを、何年も毎日のようにやってきました。
だとしたら。
子どもを育てている間、子どもだけが成長していたわけじゃなかったのかもしれません。
育児中の私は「今日も世話しかしてない」と思っていました。でもその「世話」の中で使っていた力は、子育てにしか使えないものではありませんでした。
小さな変化に気づく力。予定が崩れたときに立て直す力。感情的になっている相手と付き合う力。
これは、人と話す仕事にも、文章を書くことにも、誰かの話を聞くことにも使えます。かなり汎用性高い。
イヤイヤ期との交渉、難易度★★★★★でした
「育児経験を活かせる仕事」の考え方が変わった
「育児経験を活かせる仕事」と聞くと、私は以前なら保育や教育、料理など、子どもや家庭に近い仕事ばかり思い浮かべていました。
でも、そうじゃないのかもしれません。
育児でやってきたことを仕事にする必要はなくて、育児によって鍛えられた自分を仕事に持っていけばいいんじゃないか?
そう考えると、選択肢はもっと広がりますよね。
もちろん、育児をすれば誰でも同じ力が身につくとは思いません。私の変化も、年齢や人付き合い、これまでの経験が混ざった結果だと思います。
それでも、あの頃の「私は何も積み上げていない」という感覚だけは、少し訂正してあげたいなと。
仕事をしていなかった時期。お給料が入らなかった時期。自分のことを後回しにしていた時期。
あれは、私自身の成長まで止まっていた時間ではありませんでした。
ただ、育児には経験値バーがなかった。「対人理解が上がりました」なんて、誰も教えてくれなかった。だから気づかなかっただけなのだと思います。
今まさに子育て真っ最中で、「今日も何もできなかった」と思っている人がいたら。
今日一日で何が身についたかなんて、たぶん今は分かりません。私も分かりませんでした。
でも何年か経って、ふと心の中で自分のステータス画面を開いたとき。
「あれ。私、結構レベル上がってるじゃん」
と思う日が来るかもしれません。
子どもを育てていたあの時間。どうやら私は、子どもと一緒に自分のことも育てていた・・・育てられていた・・・
時間差で能力が謎に上がることもあるんだよね。それを私は熟成と呼ぶわ・・・
追伸
この経験値、次は思春期というボスに使うことになるらしいです。レベル上げは、まだまだ続きそうです。
それと、『キンドレッド』はまだ見ていません。でも、見終わったあとの私が、20代の頃とどう違うのか、ちょっと楽しみです。
